医者のおでこのCDみたいな鏡の正体【額帯鏡】

医者といえば、白衣、聴診器、そして…

医者のビジュアルといえば

  1. 白衣
  2. 聴診器
  3. おでこのCDみたいな鏡!

の3つだと思います。白衣、聴診器は一般の方でも常識だと思います。でも、最後の「おでこのCDみたいな鏡」だけ名前すら知らていないですよね。写真の方がわかりやすいですね(写真1)。これです。

額帯鏡、使用中の図
写真1:第一医科器械製 額帯反射鏡(みみはなな所蔵)、使用中の様子

おでこのCDみたいな鏡は【額帯鏡】

 実は、これは正式には【額帯反射鏡(がくたいはんしゃきょう)】と呼ばれる医療器具で、【額帯鏡(がくたいきょう)】と単純に呼ばれます

 主に耳鼻咽喉科医が使う道具です。鏡が左眼の前にくるようにして、スポットライトの光を反射させて鼻やのどの穴の中を見ます。右眼だけでなく、真ん中の穴からも見えるようになっているので、両眼で視線と光のラインが一致するので奥まで見える便利な道具です。

 ちなみに、鼻やのどを診察しているとき以外の非使用時は鏡を次の写真のように上に上げています。裏面は大体のメーカーで黒く縫ってあります。

額帯鏡非使用時(ミラーを裏にして上に上げている)
写真2:非使用時の額帯鏡の様子。鏡面が裏を向いて、表面には黒い面がみえている

 ですので、よくある医者のイラストのように鏡の面が表になっているのは間違えです。(写真3)

写真3:間違えた額帯鏡の付け方

 ちなみに、大昔は内科の先生や歯科の先生とかも使っていたようですが、今では耳鼻咽喉科医ぐらいしか使いません。

 更にいうと、最近はLEDの高性能化でヘッドライトがコンパクト、高性能、お手頃価格になったため耳鼻咽喉科医の中でも使用例は大幅に減っています。

 おそらく、学生実習や研修医時代も含めて、全く触れずに医者になる人も多くいると思います。ですので「おでこのCD」の正体を知らなくても偽医者ではないかと疑う根拠としては弱いです。むしろ耳鼻咽喉科でもないのに額帯鏡についてペラペラ語るほうが怪しい印象にすらなります。

 ちなみに日本の2大メーカーは下の2社になります。イラストに描くときなどで調べる場合の参考にしていただければと思います。

おわりに

 医者のおでこのCDみたいな鏡は【額帯鏡】という耳鼻科医が鼻やのどの奥に光を照らすための反射鏡だったんです。

 耳鼻咽喉科医は日常的には聴診器を携帯していないことがほとんどで、耳鼻咽喉科医以外はそもそも額帯鏡を持っていないので、白衣で額帯鏡をつけて聴診器をかけた医師というのは現代においては、まず存在しないということです。

 もし、医者の三種の神器を装備している医者がいるとしたら、ちょっと聴診もするかなという気分で歩いている耳鼻咽喉科医か、医者コスプレかということになります。

 今では学生実習でも使わない大学が増えていますので、もしかしたら、額帯鏡を知らないまま医者になった先生もいるかもしれませんので、そんな医者をみつけてもいじめないでくださいね(だれもいじめない)。

投稿者 みみはなな

医師(耳鼻咽喉科専門医)。地方医学部卒、一応博士(医学)。某大学病院勤務の中堅。

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